POLYPHONY
福岡市で初めてとなる現代詩の展覧会「POLYPHONY」が福岡市総合図書館、福岡市赤煉瓦文化館の2会場で開催されました。そのアートディレクションを行いました。展覧会のタイトルと、ヘルマン・ヘッセの「詩は音楽にならなかった言葉であり、音楽は言葉にならなかった詩である」という言葉を手掛かりに詩人たちの詩を集めてピアノをつくりました。白鍵がひとつだけ飛び出しているのは、シ=詩の展覧会であるということのささやかなメッセージ。
福岡市総合図書館では、戦後45年から65年までの20年間をクロニクルで辿っています。久留米の偉大な詩人、丸山豊さんから脈々と続く抒情的な詩や、谷川雁さんをはじめとした社会に向けて叫ばれた詩や、何気ない暮らしの中から紡がれた詩など(個人的には十代の頃から憧れていた北園克衛さんが関わった「詩と繪」に感動)。赤煉瓦文化館では、安西均さん、川崎洋さん(茨木のり子さんを誘って創刊した「櫂」など)、昨年亡くなった那珂太郎さん(天神から中洲に渡る橋の袂、カフェブラジレイロ跡地には石碑が建っています)など福岡の詩人の代表的な詩集を。また戦後、男性ばかりであった詩の世界で詩作を行った女性詩人たちに光を当てていることも特筆すべきことかと思います。彼女たちが紡ぐ詩の言葉の強さに圧倒されました。戦後から20年、この福岡の地で紡がれた多くの音や声(ポリフォニー)に、再び福岡の街で奏でられました。
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福岡市文学館(福岡市教育委員会・福岡市総合図書館)